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遠藤周作『沈黙』〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]

 今日は遠藤周作の『沈黙』を読んだ感想を書いてみようと思います。遠藤周作は少し前から気にしていた作家で、『イエスの生涯』と『白い人・黄色い人』はすでに読みました。『沈黙』は、次に何を読もうか迷っていたところで、職場の同期に勧められて読んだ一冊です。


沈黙 (新潮文庫)

沈黙 (新潮文庫)

  • 作者: 遠藤 周作
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1981/10
  • メディア: 文庫



 粗筋を言えば、キリシタン禁制の江戸時代の日本に布教に訪れたカトリック司祭が、身を隠しながら布教活動をしていく中で、様々な困難に遭遇するという物語です。殉教か、棄教か、救いとは何か、など多くの問題を取り扱っていますが、最も大きなテーマは「神の沈黙」です。


 踏み絵に代表されるように、江戸時代はキリシタンが厳しく取り締まられ、キリシタンであることが認められれば死罪となった時代です。そんな中でも日本人のキリシタンたちは、密かに、強かに信仰を続けていました。


 作中では、彼らが捕らえられ、拷問にかけられたり、処刑されたりする場面がいくつも登場します。主人公である司祭は、こうした状況を目の当たりにして、なぜ神は自分のために人々が犠牲になっていくのを黙ってみておられるのかと絶えず疑問を抱き続けるのです。



 「神の沈黙」はユダヤ教以来の重要な問題で、ユダヤの人々は何千年もこの沈黙に耐え続けて、救済を待ち続けています。それはキリスト教においても同じで、イエス以後、地上で苦しんでいる人々の元に、神は何一つ行動を起こされてはいないのです。


 この物語の最後で、作者は一つの結論を提示しています。それは遠藤周作のイエス観を最もよく表している答えだと私は考えているのですが、彼はイエスを「同伴者」として捉えているのです。


 これについては、『イエスの生涯』の中で詳しく述べられていますが、作者はイエスを、人々の孤独を癒し、苦痛をともに分かち合う者と考えています。神の役割は、奇跡を起こすことでも、人々の苦痛を取り去ることでもなく、ただ人々の苦しみを一緒に苦しむことなのです。


 そのキリスト教の真理にたどり着くまでに、司祭は日本人キリシタンの地獄のような苦しみに出会い、その苦しみを自らも体験し、身も心もぼろぼろになっていきます。そして自らが極限の状況に追い込まれた時に、この答えを導き出すのです。


 文章や情景描写は非常に素朴で、当時の長崎の静かな雰囲気の中で物語は進むのですが、こうした描写が司祭の心情を引き立て、最後の場面をいっそうドラマチックにしていたように思います。


 他にもユダとイエスの関係に対する疑問や背教の問題など、重要なテーマは山ほどあったのですが、自分の中で消化し切れていない部分もあるので、今日のところはここまでにします。キリスト教に興味のある人には一読をお勧めします。新約聖書も併せてどうぞ。


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