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北欧神話の入門書! 『北欧神話と伝説』〜ブックレビュー〜 [霊界・神話・伝説]

 久しぶりのブックレビューになります。ヴィルヘルム・グレンベック著『北欧神話と伝説』の文庫版をご紹介します。この本は物語集よりの学術書といったところでしょうか。北欧の神話とサガがたくさん詰まっているので、読み物としても面白いと思います。


北欧神話と伝説 (講談社学術文庫)

北欧神話と伝説 (講談社学術文庫)

  • 作者: ヴィルヘルム・グレンベック
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/09/10
  • メディア: 文庫



 原書の初版は1921年。邦訳の原本は1971年に新潮社から刊行されています。この本が普及版として文庫化されたのは、なかなか画期的なことだと私は思いますね。北欧神話と伝説に関する入門書としては申し分ない内容だと感じました。


 この本は2部構成になっていて、第1部が「神話篇」、第2部が「サガと伝説篇」とされています。

 神話の部分は、いわゆる「ラグナロク(神々の黄昏)」へと向かう北欧の神々の物語を扱った部分ですが、訳者解説によると、ここは有名な『スノリのエッダ』の内容に依っているようです。私としては、ここは割とあっさりしていたように感じました。主要な神のオーディンやトールの神話にページが割かれていましたが、他の神々の挿話はだいぶ端折られている印象でした。


 第1部の最後に「古い神々とキリスト」という一節がありました。神話とは直接関係はありませんが、この内容は興味深かったです。北欧人がキリスト教を受け入れていった時代に、旧来の神々が捨てられていく様子、あるいは捨てられずに対抗していく北欧人の様子、そしてキリスト教を信じる人々にちょっかいを出すオーディン(笑)などが描かれていました。


 私には、当時の人々がキリスト教を受容しながらも、どこか心の中で北欧の神々を愛しているような、複雑な心証が感じられました。ちなみにこの部分はスノリの別の著作『ヘイムスクリングラ』から採られているそうです。


 この著作の大部分を占めているのが第2部の「サガと伝説篇」です。この部分は『詩のエッダ』の他、北欧に伝わる様々な伝説やサガを取り込んでまとめているようですが、たくさんの物語が詰まっています。


 文章は淡泊で、感情の描写が少ないので読みにくい部分は多いです。また、展開が早くて迷子になってしまうところもあります。その分スピード感はあって、北欧人の剛胆さや勇猛さが溢れてくる物語ばかりです。


 彼らの精神性を理解するのはやはり難しいと思ってしまうんですが、物語の中で簡単に人を殺してしまって、そこからは復讐劇の応酬という展開がほとんどです。また人間界の戦争に、オーディンがいちいち介入してくるのも面白いところです。


 こうしたサガや伝説を読むと、神々に運命を握られていて、戦(いくさ)で死ねば天上の宮殿ヴァルハラ(ワルハル)に行けるという思想が根付いているというのがよくわかります。この思想が当たり前の世の中を間接的にでも見て、それについて考えることができるのは、こうした伝説やサガでしかないので、ここに収録されている物語は貴重な資料だと思います。


 元々が学術書なので、文庫といえども手強い書物です。でも、北欧神話に興味のある人は読んでおいて損はないと思いますので、是非、手に取ってみてください。

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アマカワ

こんばんは。
今年こそは図書館カードを作る、と決めておりますので、
読んでみます。
やっぱ……
ロマンがありますよね。
by アマカワ (2011-02-20 22:13) 

イソップ

アマカワさん、お久しぶりです。
ご多忙の中、コメント&niceありがとうございます。

北欧神話はロマンです。そして北欧の男たちは現実的です。
是非どうぞ。

by イソップ (2011-02-21 22:05) 

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