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有川浩の名作シリーズ『図書館戦争』4部作〜ブックレビュー〜 [小説・本の紹介]

 今回は有川浩さんの小説『図書館戦争』4部作をご紹介します。ずっと待ち望んでいた文庫版が、今年の春から5ヶ月連続刊行されています。一冊ずつ紹介するか、全部読んでからにするか迷いましたが、悩んでいるうちに全部読んでしまいました。


図書館戦争  図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)

図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/04/23
  • メディア: 文庫


 舞台は本の検閲が許された日本。「メディア良化法」という法律が成立した近未来の日本は、「公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を取り締まる」ための事実上の検閲が認められ、武力による取り締まりも行われるようになっていました。この検閲に唯一対抗できる組織は「図書館の自由に関する宣言」を持つ図書館でした。図書館は表現の自由を守るために武装し、検閲実行組織である「メディア良化委員会」との抗争を繰り広げていました。


 主人公は図書隊に入隊したての新人女性防衛員・笠原郁。高校生の時に図書隊員に自分と大好きな本を守られたのをきっかけに、その図書隊員に憧れて入隊を決意した経緯を持っています。彼女を中心に検閲闘争や謀略の日々がめまぐるしく展開され、合間に恋愛フェイズが差し込まれるといった内容です。


 と、まあいつものように有川さんの小説は設定がぶっ飛んでいます。ですが、架空の法律の条項や組織の編成、建物の配置などが細密に描写されていて、リアリティのある設定になっています。日本人が、日本の憲法の中で検閲を認めたら、きっとこんな世界になるんだろうなって納得させられるから不思議です。


図書館内乱  図書館戦争シリーズ(2) (角川文庫)

図書館内乱 図書館戦争シリーズ(2) (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/04/23
  • メディア: 文庫


 しかーし、有川浩の小説の醍醐味はSF設定だけではありません。このSF設定の中でひたむきに、クソ真面目に恋愛する男女の物語こそ、有川浩の真骨頂なのです。たまに出てくるベタベタな恋する乙女の表現がきつく感じることもありますが、やっぱりそこがいいんですね。


 そして、もっとも重要なテーマは「表現の自由」と「人権の尊重」です。この小説で図書隊は表現の自由を守ることを第一義としてメディア良化法と対立しています。一方のメディア良化法はマスメディアの過激な報道による人権侵害を抑制するために作られたもので、第一義は人権の尊重です。作中ではメディア良化法の解釈が肥大化し、メディア良化委員会が武力による過度な取り締まり権限を行使する圧力団体になって暴走している様が描かれています。


図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫)

図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/05/25
  • メディア: 文庫


 たとえ根本理念が善意であったとしても、検閲が認められれば権力者による言論統制に結びつくことは不可避であり、文章表現に関しても、人権を擁護するあまり既存の言葉の中から差別表現が作り出されることになるというのが、私が感じた作者の主張です。


 難しい問題ですが、私は作者の意見はその通りだと思います。どんな理由をつけたとしても、検閲は為政者にとって都合の悪いものを排除し、思想を統制し、芸術家から筆を奪い、人間の感性を貧しくするものだと思います。


 検閲や表現の自由を巡るこうしたテーマはだれでも議論できて、主張をぶつけることができるポピュラーな議題です。しかし、作者のすごいところは、これを論説でもなく、思想書でもなく、小説で描いたところだと思います。

 ただ一人で主張をこねくり回すのではなく、そこに検閲のある世界があって、登場人物がいて、彼らがそれぞれの立場と主張を持って悩みながら生きている、それを描くからこそ、この主張に説得力が出るのです。だからこそ読者も考え、悩んで自分の答えを探すことができるんです。


図書館革命 図書館戦争シリーズ4 (角川文庫)

図書館革命 図書館戦争シリーズ4 (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/06/23
  • メディア: 文庫


 表面だけ見ればSFエンターテインメント恋愛小説ですし、実際に中身もそうなんですが、社会派の一面もある、素晴らしい小説です。手に取って損はないと思います。


 ちなみに、この4部作の後に別冊が2巻出ています。それは今から読み始めます♪


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