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小篇「未来から来た男」タイムマシーンのショート×3(没ネタ供養) [小噺・小ネタ]

 タイムマシンで未来から来たという男に出会った。とても裕福そうには見えない、顔にアザのある男だった。男は言った。


「このタイムマシンは、1時間後には1人の人間を乗せて未来へ戻らなければならない。私はここに残る。君にぜひ、未来へ行ってもらいたい。なに、心配はいらないさ。これは定期便のようなもので、1時間おきに向こうとこちらを行ったり来たりしている。未来が気に入らなければ、すぐ戻ってくればいい。私のいた時代は、私のようなゴロツキでさえ、簡単にタイムトラベルができるほど、タイムマシンが普及しているのだよ」


 私は文字通りその男に乗せられて、タイムマシンで未来へ行くことにした。私はストレスと競争ばかりの今の世の中に飽き飽きしていた。例え未来がどんな時代だろうと、今を生き続けるよりはマシだろうと思ったのだ。


 たどり着いた先は荒野だった。遠くに廃墟となった未来都市が見える。目の前では無数の人間が殴り合いをしていた。どうやらこのタイムマシンを巡って争っているようだ。


 その瞬間、私は落胆とともに悟った。私はここで、1時間も生き延びなければならないのか、と。

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